こんにちは!本記事では看護師の目線から「いい老人ホーム」について解説します。
わたしの看護師歴
- 病院勤務20年
- 老人ホーム勤務5年
医療と介護の視点を交えてお伝えしていきますね。
そもそも老人ホームのことをよく知らないよ。
何を調べて何を基準にするとか、あまりにも想像つかない。
これが多くの人の実情だと思います。
この業界で仕事をするのでなければ、じっくり知識を得る必要はありません。
施設形態や介護保険制度について深く知れば、「いい老人ホーム」がわかるわけではないからです。
ですが老人ホーム選びで失敗しないために、現場で働く看護師のわたしが「いい老人ホーム」の判断基準についてお伝えします。
- 「いい老人ホーム」の条件
- 「いい老人ホーム」の見分け方
- いざという時のために
前提条件:本記事では「居住系高齢者施設」をまとめて「老人ホーム」と定義しています。
看護師の目線で!「いい老人ホーム」
以下は老人ホームの看護師であるわたしが考える「いい老人ホーム」の条件です。
- 負担可能な費用
- 介護スタッフの雰囲気が良い
- 終身利用できる
- 医療的フォローがある
→職業柄、アツく語りますよ〜 - 面会に行きやすい立地
- 運営団体が安定している
それでは各項目について解説しますね。
負担可能な費用
費用を負担できることは絶対条件です。
費用についてざっくりと解説しますね。
老人ホーム入居の費用は?
老人ホームにかかる費用はかなりの幅があります。
要確認!
・入居時の一時金はいくらか
・月々の費用はいくらか
ここで肝心なのは「入居の時点で寿命はあと◯年」と明確でないことです。
当然、長く生きる方がお金がかかります。
でも毎年、年金はもらえるワケだし。ある程度は予測できそうだね。
入居時の所持金+今後の年金などの収入で費用負担できることが、本人+家族にとっての「いい老人ホーム」ということになります。
どのくらい幅がある?
一般的には、一ヶ月の費用が10万円台の場合が多いように思います。※明確な統計はないので、現場での「肌感覚」です。
自分たちの経済状況に合わせて選べるね。
介護スタッフの雰囲気が良い
老人ホームの入居者が安心して過ごすためには、スタッフが安定して働けていることが重要です。
どんな業界でも共通していることですが、極端に人員不足である職場は雰囲気が悪くなってしまいます。
介護施設には様々な職種のスタッフがいますが、特に介護スタッフの雰囲気がサービスの質を左右します。
スタッフの雰囲気がいい条件
現場の看護師として感じる「スタッフの雰囲気がいい」職場は以下の条件を満たしています。
・ある程度の人員が確保されている
・給与や福利厚生の制度が整備されている
・運営母体が安定している
・有資格の介護スタッフが多い
有資格者が多いこと
わたしたち看護師の業務は看護師国家資格がなければ、看護職に就くことはできません。
一方で介護職の場合は、無資格でも就業が可能です。
介護サービスの質の担保を考えると、介護資格を持っているスタッフが多く配置される現場が好ましいです。
ぜひ老人ホーム選びの際の基準としてください。
終身利用できる
終の棲家になるか?
老人ホームは「終の棲家(ついのすみか)」というイメージを持たれる方が多いでしょう。
しかし実際は、「介護度が高くなったら退去する」「継続的な医療処置が必要になったら退去する」というルールの老人ホームがあります。
できればずっと同じ老人ホームでお世話になりたいな
手術などで入院したのち、自宅に戻る前に「リハビリ目的で一時的に入居する」という目的であればさほど問題ではないと思います。
なんども老人ホームさがし?
ほとんどの方は高齢になってから次々と住む場所が変わることを望んでいません。
病気や認知症が進むほどに老人ホームさがしが難しくなるんだろうな〜
実際に老人ホーム探しに難渋している人にたくさん出会いました。
なんども老人ホームさがしをするのは大変なので「終身利用できる」ことは大きなポイントです。
事前に入退去の条件を確認して下さいね。
医療的フォローがある
わたしが考える医療面の条件
わたしが自分の親を老人ホームに入れるなら、以下の条件は絶対です。
看護師が毎日出勤する(土日祝も) |
夜間休日でも医師または看護師が医療的サポートをする (例:夜間の体調不良に対し、看護師が当番制で対応するなど) |
管理栄養士が判断した食事が提供される |
親の体調が悪い場合など、施設のスタッフが病院受診に付き添う |
受診の際は施設の車で送迎してくれる |
救急搬送が必要な場合、施設スタッフがすぐに対応してくれる |
緊急時の受け入れ病院が決まっている |
上記の条件ですが、実は費用負担と医療的サービスの充実は必ずしも比例していません。
しっかり確認しなくちゃだね
あなたが老人ホームを選ぶ際の参考にして下さいね。
老人ホームが担ってくれない?
受診が必要になると下記の対応をする老人ホームもあります。
・家族が車を用意し、付き添いをする(それも突発的に必要なことが多い)
・外部の業者に依頼し、受診する(ヘルパーや介護タクシーの費用が発生する)
みなさんが老人ホームに入る目的は、「本人が安全に安心して暮らせること」「家族が共倒れしないこと」が主な理由ではないでしょうか。
わたしは看護師なので、医療に関する条件は妥協しない方が良いと考えています。
残念ながら、医療体制がすごく充実している老人ホームはかなり費用が高くなります。
しかし「受診のつきそい」「病院への送迎」を追加費用なしに担ってくれる老人ホームはたくさんあります。
この条件であれば、一般的な費用負担で対応していることが多いです。
ぜひ参考にして下さいね。
面会に行きやすい立地
可能な限り、有事の際や面会に便利な立地が好ましいです。
入居する老人ホームによっては、必要物品の買い物や病院受診の付き添いなど、家族が担う役割が多い施設もあります。
足を運びやすい立地がいいよね。
きょうだいが離れた場所に住んでいる場合は、誰か1人は近くに住んでいる場所が好ましいですね。
運営団体が安定している
サービスの質を担保
老人ホームは一時的ではなく、終生にわたり利用する人も多い場です。
そのため、介護などのサービスの質が担保されている必要があります。
一時的な利用なら、サービスが悪くなればその場を離れれば済みますが、「終の棲家」だとしたら…
やはり介護サービスの質は、運営団体の状況に影響される場合があります。
「施設長が不正をしていて逮捕された」なんてニュースを聞いたことがあるわ
複数を見学、比較
運営団体の状況を外から判断するのって難しいことではあります。
ぜひ施設見学に行き、入居者さんやスタッフの表情を確認して下さいね。
安定した運営ができていれば、雰囲気が悪くなることは稀でしょう。
できるだけ判断材料を得るために、複数の施設を見学することをオススメします。
いくつかを比較することで、「いい雰囲気」「よくない雰囲気」のヒントを得られると思います。
「いい老人ホーム」の見分け方
その施設の実情
老人ホームには様々な施設形態がありますが、判断の基準は「どの施設形態か」ではなく、「その施設の実情」で選びましょう。
なぜなら、かなり個別性がある業界だからです。
老人ホームにはさまざまな施設形態がありますが、大事なのは「その施設の実情」
「施設形態」はたくさんの判断のひとつに過ぎません。
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・有料老人ホーム
・サービス付き高齢者住宅
・グループホーム etc.
知名度や費用に惑わされない
基本的には母体が大手企業であったり、費用が高額な場合はサービスも充実しています。
でもどんな業界も例外はあるので、注意して下さい。
- 利用額が高い
➙サービスが充実しているのではなく、建築費用の回収のため - ネームバリューがある
➙実は介護について精通していない会社である - 設備がキレイ
➙介護施設として機能的ではなく、豪華なだけのことも
こっそり現場のウラ側をお伝えしますね。
看護師の人員配置・雇用形態について
基本的には、費用が高い老人ホームは看護師が24時間常駐し、人員の多くが正社員で構成されています。
しかし、利用側が支払う費用が高くても、夜間は看護師がいなかったり、職員が契約社員のみで継続的で安定したサービスを提供できていない老人ホームもあります。
わたしは実際にこういう老人ホームに出会いました。
老人ホーム選びの基準として、スタッフの雇用状況や配置人員数を確認するのも良いと思います。
医療・介護は「人が人に行うもの」なので、サービスの質を保つ=人件費を確保することでもあります。
参考にしてもらえれば幸いです。
いざという時の「ざっくり」知識
本記事では老人ホームで働く看護師の目線で「いい老人ホーム」について解説しました。
現場ならではの目線なので、かなり「使える知識」だと思ってます。
看護師の目線もいいけど、一般的な目線の「いい老人ホーム」についても知りたいな。
そうなんですよね。
看護師と他の職業の人たちでは視点が違います。
わたしも親と兄弟に理解してもらうために介護メディアの記事を読んでもらってます。
入り組んだ話になると、プロが作った資料の方が分かりやすいもんね。
老人ホームに関する情報がわかりやすいLIFULL介護の公式サイトがオススメです。
・介護保険制度のわかりやすい説明
・さまざまな老人ホームの解説
・老人ホーム入居の流れ etc.
介護はとつぜん始まることが多いので、ざっくりと知識を持っておくと「いざという時」の対応に差が出ますよ。
何も知らないよりは落ち着いて対応できそう!
それでは、お読みいただきありがとうございました。
この記事があなたのお役に立てると嬉しいです。
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